光線医療の研究で、ニールス・フィンセンがノーベル賞受賞

光線治療器の歴史

光線治療器は、カーボン・アーク灯の光線を人体各部の素肌に直接照射し、光浴と同じように自然治癒力を賦活させ、病気の治療や健康の増進を図る療法です。

1903年にデンマークの医師 ニールス・フィンセン博士が 現在の治療器の原型であるカーボン・アーク灯を創案し、結核性皮膚病を治療し、ノーベル医学生理学賞を受賞しました。

札幌市-光線療法
デンマークの医師 ニールス・フィンセン 1860-1904

皮膚疾患に対する光線医療の治療効果について研究を開始し、1893年に赤光色と天然痘に対する有益な効果の論文で注目を集めその二年後、フィンセンは狼瘡のカーボン・アーク治療を導入しフィンセン研究所を設立しました。

紫外線が生体組織に与える影響を研究し、患者に有益な効果を発揮する事がわかりました。それは、太陽光や電灯の濃度によって得られたもので、細菌を排除することができる方法を確立し皮膚に応用し病気の根絶に努め研究、開発を行い光線自体だけでなく、その熱効果の応用にも確立しました。

 

フィンセン博士は、化学線(紫外線)を用いて殺菌特性を発見し、電気アーク灯を製作し色々な皮膚病の治療、特に尋常性狼瘡のために(特に結核菌による皮膚感染症、)フィンセン人工光線治療器の応用により多くの功績を上げました。

現在の光線療法につながります
フィンセン人工光線治療器
患部に集中太陽光線の応用
野外での太陽光線療法

患部に集中太陽光線の応用、フィンセン光線は、太陽光を通過させることによって得られる、または、黄、赤及び赤外スペクトルを吸収するアンモニア硫酸銅溶液にアークによって得られました。これは、紫外線から構成されています。

5年の治療期間で、800人以上の患者の治療に当たり、患者の50%以上が完全に回復し、又はかなりの改善を示しました。

皮膚の疾患に光線療法
尋常性狼瘡

フィンセンは、数々の功績が評価され1898年に教授の称号を受け、1899年にシルバークロスの後にダンネブロ勲章の騎士に選ばれました。フィンセン博士は、とりわけ、スカンジナビア、アイスランド、ロシア、ドイツの多数の社会の名誉会員であり、エジンバラ大学はキャメロン賞を受け、1904年にデンマークのゴールドメダルを受賞。

初期の光線機器
フィンセンの最も古い機器

フィンセン博士の治療機器の根治ランプ開発製作、このランプは、人工太陽光を生成し、1950年代まで使用されました。実際の太陽光の場合と同様に、この「太陽光」は、紫外線を含んでいました。これは、フィンセン博士の最も重要な発見につながり、紫外線病原体を破壊することが可能であることを発見し1903年、博士フィンセン博士は、医学ノーベル賞を受賞

 

フィンセン紫外線ランプは、現在の光線治療に発展

フィンセン紫外線ランプ治療(日光療法)は、イギリスで子供のくる病の予防と治療するために使われていた経緯があります。

今日では、日光浴に時間を費やすか、くる病を簡単にビタミンDとカルシウムを含む食事を食べることによって防止することができることが知られています。

 

1920年代の光線療法、治療の様子
フィンセン紫外線ランプ治療、1925(ウェルカム図書館)
光線療法は、犬などの動物にも効果があります
犬の光線療法

犬達も、くる病のためのフィンセン紫外線ランプ治療を受けていました。

他の動物も同様の治療を受けていた歴史があります。

皮膚科での紫外線療法について

フィンセン紫外線ランプ治療が、病院(皮膚科)では紫外線療法としておこなわております。

紫外線療法について

当院で扱っている紫外線療法は、PUVA(プバ)療法と、ナローバンドUVB療法の2種類があります。PUVA療法には紫外線の中のA波長と呼ばれる、波長の長い方の成分を、ナローバンドUVB療法では、同じ紫外線の中でもB波長と呼ばれる波長の短い方の成分をとりだして治療に用います。

紫外線療法(光線療法)
ナローバンドUVB療法

Q. どんな病気に効くのでしょう

A.尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、アトピー性皮膚炎、尋常性白斑(じんじょうせいはくはん)、類乾癬(るいかんせん)、結節性痒疹(けっせつせいようしん)などです。このような診断をされたことのある方はご相談ください。

Q.なぜ効くのでしょう

A.紫外線には、日焼けを起こしたり、殺菌効果もあることからわかるように、生物の細胞を破壊する作用があります。一見、危険そうですが、その波長や、エネルギー量を調節して利用することにより、皮膚病を引き起こしている免疫細胞の量を減らしたり、作用を弱めたりすることによってその皮膚病の勢いを弱めることができます。上にあげたいずれの皮膚病にも、いろいろな治療法がありますが、それでも「完治」の状態にはなりにくい病気ばかりです。紫外線療法は、病気の勢いを弱めて日常生活に差障りのない状態にしておくための治療手段のひとつになるのです。

Q.安全性について

A.上にあるとおり、治療に用いる紫外線は、エネルギー量を調節してあり、治療に有効な紫外線の波長だけをとりだして利用するなど、昔の紫外線治療にくらべてもさらに安全性を増しています。古くから行われている治療法でもあり、医師の管理下に行えば大丈夫です。日焼けもまず起こしません。また、将来、紫外線による皮膚がんをおこす危険性があがらないように考慮して行います。使用する光線は紫外線ですから、作用するのは皮膚表面だけであって内臓までは到達しませんので、内臓臓器に直接影響することもありません。このように紫外線療法は、自然光の中の有効成分を上手に利用して、皮膚病の治療に用いるという、皮膚科ならではの治療方法といえるでしょう。

皮膚科での紫外線療法はアトピー,乾癬に効果あります
引用:北里大学